陳情書を書きたい。書いたことない。難しいことは苦手…。という方のために、陳情書の書き方をかんたん解説します。
1.陳情したいことを書き出してみよう
2.件名を考えよう
3.書き足りないことがあったら書き足す 要らないところを削る
4.要旨、要点に分けて文章を整理する
5.誰に渡すのかを決める
6.清書しよう
7.アポイントメントを取ろう
8.その後のステップ
9.まとめ
1.陳情したいことを書き出してみよう
まずは
☑困っていること
☑こうなったらいいな
を書き出してみましょう。
例文)
-
- 自分はカフェを営業しているが、コロナの影響で店内飲食の収益が減った。
- 持ち帰りメニューを作りたいが、今の店の間取りでは、お弁当・セットの手作りパン・デザート・手作りドリンクなどのテイクアウトの販売許可がない。
- どうにかしてそれらの販売ができ、今まで通りの収益を得られるようにしたい。
2.件名を考えよう
例文)
件名 飲食店のテイクアウトに関する規制を緩和し、テイクアウト可能なメニューを増やしてください。
3.書き足りないことがあったら書き足す 要らないところを削る
例文)
書き足し
コロナ禍でもコロナ後もコロナ前と同等の安定した収入が得られるように、今の店舗を改修工事をしなくてもテイクアウトできるメニューを増やしていただけないでしょうか。
また、どうしても改修工事が必要な場合は、実工事費用(税込み)の額に応じて国から8割以上の補助が受けられるようにしてください。
この際、いっしょに文末を直していきます。
例文)
コロナ禍でもコロナ後もコロナ前と同等の安定した収入が得られるように、今の店舗を改修工事をしなくてもテイクアウトできるメニューを増やしていただけないでしょうか。
↓
コロナ禍でもコロナ後もコロナ前と同等の安定した収入が得られるように、今の店舗を改修工事をしなくてもテイクアウトできるメニューを増やしてください。
ついつい「お願いできないでしょうか?」と書きがちですが、陳情書では「してください。」の言い切り型で。
お願いの気持ちは議員に直接お会いできたときに、 ご自身の素直な気持ちとして伝えましょう。
4.要旨、理由に分けて文章を整える
要旨→して欲しいこと
理由→その理由
例文)
【要旨】
・コロナ禍でもコロナ後もコロナ前と同等の安定した収入が得られるように、今の店舗を改修工事をしなくてもテイクアウトできるメニューを増やしてください。
・どうしても改修工事が必要な場合は、実工事費用(税込み)の額に応じて国から8割以上の補助が受けられるようにしてください。
【理由】
自分はカフェを営業しているが、コロナの影響で店内飲食の収益が減った。持ち帰りメニューを作りたいが、今の店の間取りでは、お弁当・セットの手作りパン・デザート・手作りドリンクなどのテイクアウトの販売許可がない。思うように収益が上がらず困っている。
どうにかしてそれらの販売ができ、今まで通りの生活を送れるよう、コロナ以前と同等の収益を得られるようにしたい。
5.誰に渡すのかを決める
“これって区議会議員?町議会議員?市議会議員?県議会議員?それとももしかして国会議員に提出しなきゃいけないのかな?”
内容が市で対策すべきことなら市議会議員ですし、国で対策すべきことなら国会議員になります。
迷ったときは、一番身近な、一番規模の小さい自治体の議会の議員、全員に会ってみましょう。
各自治体のHPには「議長へ提出」と書いてあります。が、おすすめは該当の議会の議員全員に、直接会いに行って渡すことです。
審議に参加するはずの議員ひとりひとりに会って話すことで、自分が陳情したい内容への議員ひとりひとりの向き合い方を会話や仕草から感じ取ることができます。
また、「陳情書」をレベルアップした「請願書」というものがありますが、こちらにはご自身の陳情(請願)したい内容を議会へ紹介してくれる議員一人以上の署名または記名押印が必要になります。
いざ、「請願書」にしたいときの味方になってくれる議員を日頃から探しておく意味でも、議員全員に会って話してみる、はおすすめです。
6.清書しよう
誰に渡すかを決めたら清書します。
A4サイズの紙の片面に10項目の必要事項を書きます。
書式に特に決まりはなく、手書きでも構いません。
書式に迷ったら、各自治体のHPに陳情書の書き方が図で掲載されているので、そちらの書式を参考にしてみてください。
《必要な10の項目》
①陳情書 と一番上に書く
②件名
③要旨
④理由
⑤年月日
⑥〇〇〇議会議員 ○○○○〇様
⑦陳情者 と書き添える
⑧陳情する人の住所(事業所の住所でも可)
⑨陳情する人の氏名
⑩陳情する人の印鑑
7.アポイントメントを取ろう
自治体のHPの議員名簿や議員の公式HPなどから選挙事務所として登録されている連絡先を知ることができます。
国会議員であれば審議期間中は都内に滞在し、それ以外の期間は地元や他の地域にいることも。
東京都近郊のお住まいの方や遠征可能な方は、議員会館巡りがおすすめです。どうしても遠征が難しい場合は、選挙事務所や議員会館へのFAXの設置率が高いので、FAXの利用も検討してみてください。
8.その後のステップ
書いてみていただいた通り、陳情書はA4一枚片面でとてもシンプルです。
議員はあなたが渡したこの一枚の陳情書をもとに、関連する必要な情報を様々な角度から調べ集め、議会での提案や判断を構築します。
情報収集には短くても3週間。規模の大きな問題や、長いスパンでのデータ収集が必要な内容であれば、それ以上の期間が準備に費やされます。
思い立ったらすぐに陳情書を書いて議員に会いに行きましょう。
9.まとめ
ロビー活動に慣れておられる方からすると「先にどこに持っていく陳情かを決めるべき」「全部を地元の議会では持って行く先がちがう」とご指摘があるかと思います。ご自身でそれがすんなり理解できる方ならば該当の議会へ提出していただくのが一番良いと思います。
ただ、日頃「条例、法律、憲法」などの文言に慣れ親しんでいない人々からすると、とてもハードルの高いことだったりします。まず、法律と憲法の区別がついていない中小企業の社長や、法令や条例などの条文を読み込んだことのない人々も多くおられます。
この記事では、普段そういった法律の読み書きなどとは馴染みがないけれど、自分たちの生活をより良くしたいと願う人々にお役立ていただければと思い作成しています。
また、国会議員になられる方々も初めは地方議員の経験を積んでからステップアップされるケースが多いです。地方自治体の議会におられる間の国会よりも身近なうちに、様々な議員との関りで知り得ることも有権者の貴重な財産になるのではないかと思っています。
陳情する内容によっては、国の法律でまかなえない点を先回りして地方の条例でカバーしたり、国会よりも地方自治体のレベルで素早く動き、事なきを得られる場合もあります。
よろしければコメントなどでご意見ご感想をいただけますと幸いです。
すべてのコメントにお答えすることはできませんが、今後の記事の作成の参考にさせていただきたいと思います。